〈 minolta Uniomat : ミノルタユニオマット 〉 は 1960年5月に 《 千代田光学精工 株式会社 》 が発売した 35㎜判のレンズシャッター式スチルカメラで、露出の自動設定を可能とするエントリーユーザー向けの製品として開発されました。
1960年発売 〈 minolta Uniomat 〉
搭載するレンジファインダーは自動パララックス補正機能が無い 『 反射鏡式( アルバタ式 ) 』 で、近接撮影用の視野枠が設けられています。
エントリースペックといえるこの装備には、製品の商業的な位置づけが表れていますが、中央寄りに配置されているファインダーの視差( パララックス )は大きくありません。
この製品の最大の特徴は、追針式による内蔵露出計との連動を、鏡筒にある一つの操作リングで行える事にあります。
〈 Minolta Uniomat 〉の使用説明書
( 背開きにした表紙と裏表紙 )
- 裏表紙には、宇宙空間に浮かぶ宇宙ステーションを背景にした〈 minolta Uniomat 〉のイラストが描かれています。
先駆的な製品である事をイメージさせようとしたのだと思われるこのデザインは、冷戦下のソ連とアメリカによる宇宙開発競争( スペースレース )が繰り広げられていた当時を偲ばせるものです。
奇しくも、このイラストに描かれたイメージは後の1962年2月20日にアメリカの有人宇宙飛行ミッションで宇宙船に持ち込まれた〈 minolta HI-MATIC( OEM製品の Ansco AUTOSET )〉が実現させることになります。
製品に付属する『 使用説明書 』の冒頭は次のような文言になっています。
「 ミノルタユニオマットは、これからのアマチュアカメラのあり方に対する全く新しい思想に基づいて設計された、新時代の完全自動式35ミリカメラです。」
〈 minolta Uniomat 〉 には 「 シャッター速度リング 」 と 「 絞りリング 」 がありません。
『 露出調節リング ( EVリング )』 の一操作によって、露出計と 『 追針式 』 で連動させる事が出来るようになっています。
この機能は、搭載された 『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 シャッターによって実現されています。
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鏡筒基部に記されている搭載シャッター銘
『 OPTIPER UNI CITIZEN 』
『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 は 『 光量値シャッター 』 として 《 千代田光学精工 株式会社 》 が考案し、 《 シチズン時計 株式会社 》 と共同開発して完成させたプログラム式のレンズシャッターです。
この機構は絞り羽根を持たず、シャッター羽根が絞りとしても機能します。
レンズシャッターは、シャッター羽根を開閉させるのに要する往復時間が最高速度となる機構から発達していて、この動作にブレーキを掛けて低速側に制御して速度設定する仕組みを持っています。
そして絞りは、絞り羽根の開閉などによって撮影レンズの口径を変化させるもので、このシャッター速度と絞りの組み合わせが撮影設定における露光量となります。
シャッターと絞りを操作する方法は、製品によってそれぞれ異なります。
このサイトで紹介している 〈 minolta auto wide 〉 は、トップカバーの背面に絞りとシャッター速度のそれぞれを操作するダイヤルとホイールを持っています。
〈 Minolta •A-2• 〉 の場合はシャッター速度の設定をトップカバー上のダイヤル操作で行い、絞りは鏡筒先端の枠を回転させて操作します。
〈 minolta A3 〉 では、鏡筒にシャッター速度リングと絞りリングとを備えています。
それぞれの機種については、次で紹介しています。
そして、予め決まったシャッター速度と絞りとの組み合わせによって、露光量の設定変更を一操作で行うのが、ここに紹介する 〈 minolta Uniomat 〉 です。
〈 minolta Uniomat 〉 の撮影設定は鏡筒にある操作リングで行いますが、〈 minolta A3 〉 にあるような独立した 「 シャッター速度リング 」 と 「 絞りリング 」 は備えていません。
鏡筒にある操作リングは 「 フォーカスリング 」 の他には 『 露出調節リング ( EVリング ) 』 一つだけで、このリングにより 「 シャッター速度 」 と 「 絞り 」 両方の設定変更を行います。
〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒
本体側の細いゼブラ仕上げになっている部分が 『 露出調節リング ( EVリング ) 』 です。
絞り羽根を操作しないというだけでなく、絞り羽根そのものを持たない 〈 minolta Uniomat 〉 の絞り機構は、シャッターを全開にさせない事で絞り効果を得るという仕組みになっています。
『 露出調節リング 』を操作する撮影設定では、鏡筒の L V目盛に対応するシャッター速度と絞り値となるシャッター羽根の開き量が決められていて、これが次の表にある組み合わせに調整されています。
シャッター速度は、最低速度の8 ( 1/s ) から最高速度の1000 ( 1/s ) までの無段階で機能し、搭載する撮影レンズ 「 ROKKOR TD 45㎜ f2.8 」 の開放絞り F2.8 との組み合わせである EV6 から、最小絞りの F16 との組み合わせの EV18 までを設定する事が出来ます。
撮影設定を行う操作リングにはドット状の指標 [ ● ] がいくつかあり、そのそれぞれが鏡筒に記された各パラメーターを指示する事によって、撮影設定の各値を確認する事が出来ます。
〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒側面
( 上側 )
最も視認しやすい鏡筒の上部に並んでいる 6 ~ 18 の順序数は撮影設定の 「 EV 値 」 を示すもので、『 露出調節リング ( EVリング ) 』 にある 赤色 のドット状の指標 [ ● ] の一つによって指示されます。
その上にある ▲ を中心にして左右対称に並ぶ数値も 「 EV 値 」 ですが、これは先端側のフォーカスリングに記されている距離表示( 数字だけが記されていて目盛は無い )と合わせて読む 「 EV 値 」 で示された 『 焦点深度目盛 』 になっています。
『 露出調節リング ( EVリング ) 』の指標を鏡筒の「 LV目盛 」に合わせる操作のみで設定を行う〈 minolta Uniomat 〉ならではの焦点深度の表示方法だといえます。
〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒側面
( 左手側の斜め上から )
B( バルブ )と 6 ~ 18 の「 EV 値 」表示のうちの 6 , 7 , 8 は赤い文字で記されていて、 撮影設定が 『 カメラぶれ 』 に注意する状態にある事を警告色で分かり易くしたスタイルで表示しています。
〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒側面
( 右手側の斜め上からと下から )
鏡筒の右手側には、焦点深度目盛がある列に 「 セルフタイマーのセットレバー ( 青緑色 ) 」 、「 EV値 」 目盛 がある列に 「 フラッシュのシンクロ接点切り替えレバー ( 赤色 ) 」 があり、その更に右手側に記されているのがシャッター速度表示です。
〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒側面
( 底側 )
シャッター速度表示は鏡筒の底側にまで回り込んで記されていて、設定値の表示は 8 ~ 1000 ( 1/s )の倍数系列が並んでいます。
『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 シャッターは、最高速度 1/1000(秒)を実現している数少ないレンズシャッターの一つでもあります。
〈 minolta Uniomat 〉が実現しているプログラム式の設定機能は、製品コンセプトにあるユーザーが絞り値を把握して撮影する事が想定されていません。
〈 minolta Uniomat 〉 には絞りのパラメーターが無く、製品は絞りを表示しません。
絞りの 「 F値 」 を確認しようとすれば、設定した 「 EV値 」 から 「 シャッター速度 」 の換算値を引いた 「 EV値 」 を、更に 「 F値 」 へと換算して把握する必要があります。
もしくは、プログラムの組み合わせを覚えておくか、製品マニュアル等でその都度確認する必要があり、使用する上で実際的ではありません。
実際の撮影操作では、各指標を確認して設定操作を行う必要はありません。
『 露出調節リング( EVリング )』の操作によって、追針式露出計のメーターを確認して行います。
〈 minolta Uniomat 〉
追針設定用の露出計
- 連動露出計の表示窓はトップカバー上面の中央付近にあり、アクセサリーシューと並ぶように位置しています。
- メーターには目盛や数値の表示は無く、メーター針が設定情報を指示して表示する事はありません。
- 露出計が受光していないときはメーター針は左端の黒いエリアにあります。
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メーター針は上側を基点にして左右に振れます。
追針の形状は先端に凹みがある板状になっていて、メーター針が追針の凹みの中に入るようにして合わせます。
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メーター針は上側を基点にして左右に振れます。
追針の形状は先端に凹みがある板状になっていて、メーター針が追針の凹みの中に入るようにして合わせます。
『 露出調節リング ( EVリング ) 』 の一操作で動作する追針によって、 内蔵露出計と連動した露出の決定を直感的に行うことが可能です。
このインターフェースこそが、〈 minolta Uniomat 〉の製品コンセプトにつながる操作スタイルを実現しているものに他なりません。
– リーフレット –
「 ミノルタユニオマットの使い方 早わかり 」
フィルムを入れるところからカメラ店に現像と焼き付けを依頼するまでの撮影手順をステップに分けて短く記した「 ミノルタユニオマットの使い方 早わかり 」という表題のリーフレットが使用説明書とは別に付属しています。
リーフレットは観音折りに畳まれた横幅が12センチほどの大きさで、末尾に価格の案内が記されている事から、製品に同梱させただけでなく販促物としても利用されたものだと思われます。
副題は〝 あなたも今日から名カメラマンです 〟で、エントリーユーザーを対象にしたその内容は〝 ▶︎これだけお読みになればどなたでも写せます 〟という見出しで始まり〝 ① まずフィルムを入れましょう 〟と続きます。
この他に〈 minolta Uniomat 〉 には 『 フラッシュ露出自動調節装置 』 という、フラッシュ撮影での設定を簡単に行えるように工夫された機能があります。
フラッシュ撮影の際に用いる A B C D E のインデックス
〝 装置 〟 とはいうものの、何らかの機構が組み込まれているというわけではなく、各操作リングをフラッシュ撮影に適した設定に合わせる為のガイドが記されているものです。
操作方法は、レンジファインダーで合わせた被写体までの距離をフォーカスリングの表示で確認 して、使用するフラッシュのガイドナンバーに対応したアルファベットのインデックス目盛に 『 露出調節リング( EVリング ) 』 の基部に記されている距離表示を合わせます。
使用するフラッシュに適したシャッタースピードと絞りになる撮影設定をする事が出来ます。〈 minolta Uniomat 〉の鏡筒側面
( 左手側 )
鏡筒の左手側には 「 M接点 」 , 「 X接点 」 用に2本のガイドラインが引かれていて、操作リングの 赤いドット状の指標 [ ● ] と合わせて読みます。
「 M接点 」 で M級フラッシュバルブ( 閃光電球 )使用時は 【 黄色のガイドライン 】 、 「 X接点 」 で エレクトロフラッシュ( スピードライト )を使用する際は 【 赤色のガイドライン 】 の範囲内で適正な設定になる事を表します。次の図は、光量記号として記されている A B C D E の各アルファベットが対応するフラッシュのガイドナンバーを表にしたものです。
使用するフラッシュがどのアルファベット記号に対応しているのかは、この表で把握する必要があるものの 「 シャッター速度を設定してガイドナンバーと撮影距離の割り算をして絞りを合わせる・・・ 」 といった手順からすると大幅に自動化した設定方法になっています。
鏡筒正面の化粧リングには 『 MINOLTA 』 のブランド銘がある他には、レンズのシリアルNo.と共に 「 ROKKOR 1:2.8 / 45 」 とだけ記されていて、レンズ構成を表すために同社が用いるアルファベット記号がありません。
撮影レンズそのものは、同社の 〈 minolta A3 〉 , 〈 minolta A5 〉 が搭載した 「 ROKKOR TD 45㎜ f2.8 」 と同じものですが、フォーカシングが全群繰出式ではなく前玉繰出式であるために無限遠以外では同一の光学性能になっていません。
鏡筒先端のローレット加工された黒色の部分が 「 フォーカスリング 」
前玉の繰り出しは、フォーカスリングと一緒に前玉も回転する 「 前玉回転式 」 ですが、『 ダブルマウント前玉繰出方式 』 という名称で同社が紹介している、強度と繰り出し動作の安定性が高められた構造になっています。
〈 minolta A3 〉 と 〈 minolta A5 〉
についてはの項で紹介しています。
〈 minolta Uniomat 〉には、アメリカの《 GAF( General Aniline & Film ) Corporation 》の商品として製造された〈 ANSCOSET 〉というモデル名のOEM( Original equipment manufacturing:相手先商標生産 )製品があります。
トップカバーのモデル名と本体正面左手側のブランド名の表記が、それぞれ【 ANSCOSET 】と【 Ansco 】になっています。
両製品の仕様は全く同一のものですが、〈 ANSCOSET 〉の搭載レンズ銘には〈 minolta Uniomat 〉の撮影レンズとして化粧リングに記されている「 MINOLTA ROKKOR 1 : 2.8 / 45 」の『 MINOLTA 』を『 ANSCO 』に変更して表示を改めた「 ANSCO ROKKOR f / 2.8 45㎜ 」が記されています。
また、〈 ANSCOSET 〉の距離指標はアメリカで用いられている[ feet / ft( フィート )]表記となっています。
〈 minolta Uniomat 〉
〈 ANSCOSET 〉
– 画像左 –
〈 minolta Uniomat 〉– 画像右 –
〈 ANSCOSET 〉
〈 minolta Uniomat 〉
〈 ANSCOSET 〉
搭載レンズの表示
「 MINOLTA ROKKOR 1 : 2.8 / 45 」
搭載レンズの表示
「 ANSCO ROKKOR f / 2.8 45㎜ 」
距離表示は[ m(㍍)]
距離表示は[ ft(㌳)]
翌年の 1961年12月に発売された 〈 minolta Uniomat II : ミノルタ ユニオマット Ⅱ 〉 は、シャッター , 撮影レンズ , ファインダー といったカメラとしての基本性能は 〈 minolta Uniomat 〉 と全く同一のものです。
1961年発売 〈 minolta Uniomat II 〉
〈 minolta Uniomat II 〉 は、1961年春のカメラショーで 《 minolta HI-MATIC 》 と同時に発表されたモデルで、同世代の製品である両機種のデザインには一見して多くの共通点があります。
《 minolta HI-MATIC 》 は、〈 minolta Uniomat 〉 では追針式によるマニュアル操作だった露出計との連動を 「 EE 」 機構によって自動化したカメラです。
この仕組みによって、露出の決定を完全に自動化した初めてのカメラとして発表された 《 minolta HI-MATIC 》 の登場に合わせて、〈 minolta Uniomat 〉 のデザインをリニューアルした製品が 〈 minolta Uniomat II 〉 です。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
- 〈 Uniomat 〉では黒色だった張り革は〈 Uniomat II 〉ではシボの細かいグレーのものに変更されています。
- 〈 Uniomat 〉では黒色だったファインダー窓内の中枠となるプレートの色が、〈 Uniomat II 〉ではパール調の白色に変更されています。
- 〈 Uniomat 〉ではトップカバー正面のファインダー窓の下に記されていた『 minolta 』ロゴは、〈 Uniomat II 〉ではファインダー窓内にある距離計窓の下に、箔文字で記されています。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅱ 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat Ⅱ 〉
〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉では露出計の受光窓に、庇( ひさし )が取り付けられて測光での指向性精度の向上が図られています。
– 画像左 –受光部の窓枠がフラット
– 画像右 –
受光部の窓枠に庇がある
〈 minolta Uniomat 〉にも、露出計受光部の窓枠が庇( ひさし )になっている製品があります。
〈 minolta Uniomat II 〉へのモデルチェンジのタイミングを待つ事なく、改良として部品が変更され製造が行われたようです。
デザインが刷新された〈 minolta Uniomat II 〉へのモデルチェンジに際しては、庇( ひさし )のついた窓枠は黒色のペイントからトップカバーと同じメッキ仕上げになっています。
〈 minolta Uniomat II 〉 のトップカバーに記された製品名に〝 II 〟の表記はなく 【 Uniomat 】 とだけ記されていて、1960年発売の前モデル 〈 minolta Uniomat 〉 との違いがありません。
トップカバー上に記された【 Uniomat 】の表記は、本体正面のブランドロゴ〝 minolta 〟とは違うスタイルのフォントです。
【 Uniomat 】の名称はシリーズ名として記されたもので、型式の〝 II 〟までを含めたモデル名として記されたものではないのかも知れません。
翌々年の1964年に発売となる〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 のトップカバー上にあるのも同じ表記です。
製品のパッケージには、本体には記されていない型式までを含んだ製品名が記されています。
– 画像左 –
〈 minolta Uniomat 〉– 画像右 –
〈 minolta Uniomat II 〉
- 底箱には、正面に[ AUTOMATIC EXPOSURE SET 35㎜ CAMERA ]と記され、側面には[ CHIYODA KOGAKU SEIKO K.K. ]の表記があります。
製品のマニュアルやパッケージには 【 Uniomat II 】 と表記されていて、世代を表す〝 II 〟の付いた 〈 Uniomat II 〉 が製品名である事が判ります。
〈 minolta Uniomat II 〉が発売された1961年12月当時は《 千代田光学精工 株式会社 》であった社名は、翌年の1962年7月に《 ミノルタカメラ 株式会社 》に変更されます。
この移行期に製造されている製品には、メーカー名を表す『 CHIYODA KOGAKU 』もしくは『 MINOLTA CAMERA 』といったいった刻印表記がないものがありますが、ブランド名『 minolta 』の表記がその役目を果たしていたといえます。
パッケージや使用書といった付属する印刷物の社名表記は、画像のように『 CHIYODA KOGAKU SEIKO K.K. 』から『 MINOLTA CAMERA CO., LTD. 』へと変更が行われています。
〈 minolta Uniomat 〉と〈 minolta Uniomat II 〉それぞれに、専用の「 レンズフード 」が設定されています。
専用のアクセサリーとしてパッケージされている箱には、カメラ本体と同じくそれぞれの機種名が記されています。
〈 minolta Uniomat 〉用レンズフード
- 箱の表記は『 LENS SHADE For Minolta Uniomat 』
- レンズフード本体には for minolta が表記されています
〈 minolta Uniomat II 〉用レンズフード
- 箱の表記は『 LENS SHADE FOR Minolta Uniomat II 』
- レンズフード本体には minolta が表記されています
- それぞれのモデル名が表記された専用品としてパッケージされていますが、ケースとフード本体には対応するモデル名の表記はありません。
専用レンズフードの取り付けは、鏡筒先端のフィルター枠の外周に嵌め込み〝 つまみネジ 〟で締め付けるタイプの【 かぶせ式 】
搭載レンズが同一で、鏡筒先端の造作が同じである両機種の専用品として製造されている「 レンズフード 」の違いはごく僅かで、一見すると同じに見えます。
サイズを比較すると違いがありますが、その差異は同じ規格品が改良等により変更が加えられたと思える程度のものです。
刻印表記は明らかに異なっている部分ですが、どちらの製品にもモデル名などは印されていません。〈 minolta Uniomat 〉用レンズフード
〈 minolta Uniomat 〉用レンズフードのパッケージには、『 LENS SHADE For Minolta Uniomat 』の表記のほか、側面に『 For Minolta LENS SHADE 』 と記されています。
そして、附属する皮革製のケースには「 FOR Minolta 」と刻印され、レンズフード本体に[ for minolta ]と彫り込まれています。〈 minolta Uniomat II 〉用レンズフード
〈 minolta Uniomat II 〉用のレンズフードには、『 minolta 』のブランド銘のほかに『 JAPAN 』、そして『 D42KA 』という表記が彫り込まれています。
『 D42KA 』という表記は、鏡筒への取り付け方式が【 かぶせ式 】で、取り付け径が【 42mm 】である事を示すものです。明確な時期は判りませんが《 千代田光学精工 株式会社 》から《 ミノルタカメラ 株式会社 》へ商号変更された頃から導入されているようです。
両機種の専用レンズフードは、一見すると刻印表記だけに違いがある同一製品のようですが、サイズを比較すると違いがあります。
しかしその差は僅かで、同一規格の製品が改良などの理由で仕様変更されたと思えるものです。
[ for minolta ]と表記された〈 minolta Uniomat 〉用の方が小さく、高さ( 深さ )と幅( 直径 )がそれぞれ、約1㎜ 短いですが、全体からするとスケールの目盛りで比較して判る程度です。上の画像では相互に両機種用のレンズフードの付け替えを行っていますが、同様の製品として使用する事が出来ます。
また、『 D42KA 』レンズフードは、同時期に販売された製品で共通のアクセサリーになっていて、対応する複数機種を表記したパッケージがあります。
- パケージの表記『 LENS SADE FOR Minolta AL Minolta Uniomat Minolta A5 』
- メーカー表記は『 CHIYODA KOGAKU SEIKO K.K. 』
パッケージに表記された3機種〈 minolta AL 〉( 1961年7月 ), 〈 minolta Uniomat 〉( 1960年5月 ),〈 minolta A5 〉( 1960年3月 )
複数モデル用としてではなく、同じ製品でありながら〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉の専用品とてパッケージされているアクセサリーは、レンズフードの他にもレンズフィルターがあります。
『 FOR Minolta Uniomat Ⅱ 』と表記された専用パッケージは、レンズフードと同じ基調のデザインに揃えられいます。パッケージで専用品とされているカメラの機種名が、レンズフィルター本体に印されていないのは、レンズフードと同様です。
『 F40.5NA 』は、外径42㎜ の枠に40.5㎜ の取付けネジが切られた、ねじ込み式のレンズフィルターである事を示す表記です。
レンズフードと同じように、他の機種名などが表記されて異なるパッケージがあります。
同時発表の 〈 minolta Uniomat II 〉 と 《 minolta HI-MATIC 》 は同じ基調のデザインに仕上げられています。
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〈 minolta Uniomat II 〉– 画像右 –
《 minolta HI-MATIC 》
〈 minolta Uniomat II 〉
《 minolta HI-MATIC 》
〈 minolta Uniomat II 〉 と 《 minolta HI-MATIC 》 とに使われている張り革は明るいグレー色で、黒色が使われている製品が持つ高級感や重厚感といったイメージからすると、いかにも軽快な印象です。
《 minolta HI-MATIC 》 の中枠は白色ではありませんが、ファインダー窓の下に同じ配色のプレートが取り付けられていています。
〈 minolta Uniomat 〉のデザインをリニューアルして登場した〈 minolta Uniomat II 〉は、カメラとしてのスペックは全く変わっていませんが、設定表示がシンプルになっています。
このリニューアルに伴って、鏡筒部分にある設定情報の表示とそのレイアウトが変更されています。
変更された鏡筒部分の設定表示は、製品コンセプトで想定するターゲットユーザーの使用に合わせて更にシンプルになっています。
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〈 minolta Uniomat 〉– 画像右 –
〈 minolta Uniomat II 〉
〈 minolta Uniomat 〉
〈 minolta Uniomat II 〉
〈 minolta Uniomat 〉 ではプログラム式シャッターでの設定表示が、鏡筒の外周にところ狭しと記されていました。
鏡筒を上から見たとき、『 露出調節リング( EVリング ) 』 で設定される 『 EV値 』 と 「 フォーカスリング 」 で設定される 『 距離目盛 』 、さらに 『 被写界深度目盛 』 の確認が出来る一見して多くの数字が並ぶレイアウトでした。
デザインがリニューアルされた 〈 minolta Uniomat II 〉 では、鏡筒の設定表示の種類が大幅に少なくなっています。
特に、鏡筒を上から見て確認する数値や目盛の一切が廃止されて、中央部分には 【 緑色 のライン 】 と 【 赤色 のライン 】 だけが直線上に並んでいます。
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〈 minolta Uniomat II 〉の鏡筒
この 『 赤 − 緑 』 のラインは、『 露出調節リング( EVリング ) 』 にある 赤色 のドット状の指標 [ ● ] の位置によって、「 カメラぶれ 」 を起こしやすい設定になっている事を警告するサインになります。
「 EV値 」 を表示して、その数値の色でカメラぶれを警告する 〈 minolta Uniomat 〉 と比べると、より感覚的な表示サインです。
〈 minolta Uniomat II 〉の『 EV値 』表示は、〈 minolta Uniomat 〉でシャッター速度表示があった右手側の側面から底側にまで回り込む様にして記されています。
〈 minolta Uniomat II 〉の鏡筒側面
( 底側 )
鏡筒側面の右手側から底側にかけて並んでいる 6 から 18 までの順序数が 『 EV値 』 です。
『 露出調節リング( EVリング ) 』 にある 赤色 のドット状の指標 [ ● ] によって設定の 『 EV値 』 を確認する事が出来ます。
「 EV値 」 の表示と並行して記されているのは、[ フィート:feet( ft ) ] 表記での距離表示です。( [ メートル:meter( m ) ]の距離表示は左手側にあります。 )
フォーカスリングの 灰色 のドット状の指標 [ ● ] によって確認します。
〈 minolta Uniomat II 〉にはシャッター速度表示がありません。適正露出の写真撮影を簡単に行えるカメラとして開発され、追針による 『 プログラム式 』 の撮影設定を行う 〈 minolta Uniomat 〉 には、 「 絞り 」 と 「 シャッター速度 」 をそれぞれ設定する操作はありません。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat II 〉「 絞り 」 の表示を無くした 〈 minolta Uniomat 〉 にも 「 シャッター速度 」 の表示はありましたが、〈 minolta Uniomat II 〉 では 「 絞り 」 だけでなく 「 シャッター速度 」 も表示されなくなっています。
発売広告や附属するマニュアルの冒頭には次のようなピーアール文があります。
『 … 新しい露光調節方( ユニシステム )をそなえているため撮影時に絞りやシャッター速度を経験やカンで判断する必要がなく、あなたはただ露出計の針を合わせる一操作のみで常に各被写体に対し理想的な露光が自動的にセットされます。 』〈 Uniomat II 〉が簡単な使用方法のカメラである事が直接的な表現でアピールされていて、製品コンセプトにつながる撮影スタイルを強く打ち出すものになっています。
〈 minolta Uniomat II 〉のフラッシュ撮影の設定方法は、〈 minolta Uniomat 〉と同様の『 フラッシュ露出自動調節装置 』で行うようになっています。
〈 Uniomat II 〉の鏡筒側面
( 左手側 )
鏡筒の左手側には本体部分のアルファベット記号と合わせて読む距離目盛と、「 M 接点 」 , 「 X 接点 」 用に2本のガイドラインが 黄色 と 赤色 とで引かれています。
この部分の表示スタイルは〈 minolta Uniomat 〉と同じです。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
- 〈 minolta Uniomat 〉では距離目盛の表示がフォーカスリングに記されていて、これを鏡筒側面の指標で読む表示スタイルでしたが、〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉ではこれとは逆に鏡筒側面に記された距離目盛をフォーカスリングの指標で読むスタイルに変更されています。
- [ フィート:feet( ft ) ] 表記は右手側に記されていますが、 [ メートル:meter( m ) ] の距離目盛は左手側の 「 M − X 接点 」 ガイドラインの上に並べて記されています。
〈 minolta Uniomat II 〉では、アルファベット記号に対応するフラッシュ製品を背面に設けられた表で確認する事が出来ます。
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〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 minolta Uniomat 〉の製品本体には 『 フラッシュ露出自動調節装置 』 のインデックス表示が無く、アルファベット記号に対応するガイドナンバーやフラッシュ製品は、説明書などで確認する必要がありました。
〈 Uniomat II 〉の裏ブタに設けられた「 FLASH GUIDE TABLE 」
『 フラッシュ露出自動調節装置 』 に用いるアルファベット記号に対応したフラッシュ製品が表にされています。
表にはガイドナンバーの表示は無く、想定するユーザー層を意識した実際的な表示になっています。
そして、1964年6月に〈 minolta Uniomat Ⅲ : ユニオマット Ⅲ 〉が発売されます。
1964年発売
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉
- 〈 minolta Uniomat II 〉 がそうであったように、トップカバーにあるモデル名に〝 Ⅲ 〟の表記はな 【 Uniomat 】 とだけ記されています。
- 製品のマニュアルやパッケージには 【 Uniomat Ⅲ 】 という、世代を表す『 Ⅲ 』を附したモデル名で表記されているのも 〈 minolta Uniomat II 〉 と同様です。
〈 minolta Uniomat III 〉 による同シリーズのモデルチェンジは、デザインの変更だけだった〈 minolta Uniomat 〉 から 〈 minolta Uniomat II 〉 の時とは違い、スペックの変更を伴うものになっています。
– 画像左 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
シャッターが変更され、露出計の受光部のスタイルが変えられている他にも、操作に部分いくつかの違いがあります。
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 の鏡筒
- 鏡筒の上部正面には設定表示の類いが無くなり、セルフタイマーのセットレバーと 「 M 接点 」 , 「 X 接点 」 の切り替えレバーが配置されています。
鏡筒右手側の下部に記されているシャッター銘
『 CITIZEN UNI 』
シャッターは、最高速度 1/1000(秒)を誇った 『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 から、最高速度が 1/500(秒)の 『 CITIZEN UNI 』 シャッターに変更されています。
〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 よりもシャッターの設定範囲が狭くなったプログラム式の 「 EV値 」 表示は 6 ~ 17 までになっています。
〈 Uniomat Ⅲ 〉の鏡筒側面
( 右手側 )
鏡筒の右手側には、フラッシュ撮影での 「 M接点 」 , 「 X接点 」 それぞれの設定範囲を示す 「 【 黄色 】 と 【 赤色 】 2本のガイドライン 」 が上下に記されていて、その下にシャッターの設定表示が配置されています。
- フラッシュ設定用のガイドラインが 〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 では左手側に配置されていたのとは反対に、〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 では右手側に配置されたレイアウトになっています。
- 〈 minolta Uniomat II 〉 と同様にシャッターの設定表示は 「 EV値 」 のみで、シャッター速度を表示しません。
設定値は B( バルブ )と 6 ~ 17 で、 B 6 ・ 8 は赤色の表記でカメラぶれのを警告しています。
黒色の 『 露出調節リング( EVリング ) 』 にある 赤色 のドット状の指標 [ ● ] がその位置によって設定値を指示します。
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉の外観を特徴的なものにているのは、露出計の受光素子に用いられているセレン光電池の受光窓の位置と形状です。
露出計の受光窓は〈 minolta Uniomat 〉と〈 minolta Uniomat II 〉ではトップカバー正面の右手側に配置されていました。
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉での配置は、通常はレンズ銘等が記されている鏡筒正面の外周に、ドーナツ状の受光素子が付いています。
– 画像左 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
- 〈 minolta Uniomat 〉と〈 minolta Uniomat II 〉では、トップカバー正面の右手側に位置していた露出計の受光部は、〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉では鏡筒の正面へと移っています。
- その形状から 『 サークルアイ 』 式などと呼ばれるドーナツ状をした受光窓が、鏡筒正面に撮影レンズの外周を囲むかたちで配置されています。
- 撮影にフィルターを用いる際にはレンズと共に受光部を覆う事が出来るので、各種フィルターの露出倍数をフィルム感度の設定で補正する必要がありません。
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〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
トップカバー正面の右手側は〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉ではフラットになり、〈 minolta Uniomat 〉と〈 minolta Uniomat II 〉 で受光窓があったスペースには『 minolta 』のロゴが記されています。
〈 Uniomat Ⅱ 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉のトップカバー正面は、一見すると露出計の受光窓が廃されてフラットになった部分に『 minolta 』のロゴがあしらわれている他は〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉と同じに見えますが、全面が新しくデザインされています。
ファインダー窓は少し大きくなり、ファインダー窓の上下に沿った正面部分が、右手側のロゴがあしらわれた部分にかけて帯状の段が付けられています。
デザイン上の理由を定かには出来ませんが、新たに記された右手側の『 minolta 』ロゴとの重複を避けたものなのか、ファインダー窓枠内の白い部分にあしらわれていたロゴは無くなっています。
焦点合わせの方法は〈 minolta Uniomat 〉と〈 minolta Uniomat II 〉と同じ「 前玉繰り出し式 」です。
〈 Uniomat Ⅲ 〉の鏡筒側面
( 左手側 )
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉の距離表示は鏡筒側面の左手側に記されていて、メートル表示とフィート表示が上下に並んでいます。
フォーカシングによるリングの回転と共に動く 赤色 のドット [ ● ] が指標となって距離表示をします。
〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 のフォーカスリングは鏡筒の先端部分と一体で、前玉と共に全体が回転して繰り出されましたが、〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 では正面のドーナツ型の受光窓部分は回転せず、中央のレンズ部分だけが傾斜のついた化粧リングと共に回転して繰り出されます。
〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 の操作では、鏡筒基部のリングを引き起こしながら回転させて行なっていたフィルム感度の設定は、〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 では鏡筒下部に設けられたスライダーで行う方法に変更されています。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像右 –
〈 Uniomat II 〉 〈 Uniomat Ⅲ 〉の鏡筒側面
( 底側 )
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
- 〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 でのフィルム感度設定は、『 露出調節リング( EVリング ) 』 を持ち上げながら回転させて鏡筒基部の感度表示に指標を合わせて設定します。
〈 minolta Uniomat 〉 の感度表示は [ ASA ] のみですが、〈 minolta Uniomat II 〉 には [ DIN ] 表示もあり [ ASA ] の設定値に続けて表示が並んでいて、別の指標によって合わせる事が出来ます。
- 〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉のフィルム感度設定は、鏡筒側面の基部に新たに設けられた『 スライダー 』によって行う方法に変更されています。
『 スライダー 』は板状で、中央には指 (ツメ) 掛かりとなるV字の凹みがあり、設定値にクリップストップします。
[ ASA ] と [ DIN ] の表示は上下に並べて表記されています。
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉では、 『 フラッシュ露出自動調節装置 』に用いるアルファベット記号表記のデザインが変更させています。
– 画像右 –
〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉– 画像左 –
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉
〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉
〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉でのモデルチェンジに際して、本体正面の左手側に『 フラッシュ露出自動装置 』の光量記号として記されている A B C D E インデックスの表示スタイルが変更されています。
鏡筒の円周に沿って並べられていたインデックスが縦列の配置になり、長く引かれた目盛りを鏡筒基部の距離表示に合わせるようになっています。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像中央 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 minoltaUniomat 〉,〈 minoltaUniomat II 〉に用意されたのと同様に、〈 minoltaUniomat Ⅲ 〉にも専用品としてパッケージされたレンズフードが設定されています。
受光窓が『 サークルアイ 』式になり鏡筒先端のフィルター枠が外径54㎜へとサイズアップした〈 minoltaUniomat Ⅲ 〉用には、新たに専用サイズの被せ式レンズフードが用意されています。
露出計の受光窓が『 サークルアイ 』式となった〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉の専用レンズフードは、同一サイズで互換性があった〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 の専用品とは異なる大きさのものになっています。
鏡筒先端に40.5㎜のネジが切られた外径42㎜の枠に嵌め込んで取り付けるタイプだった〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 のものと同様のスタイルのものですが、52㎜のネジ枠で外径が54㎜になった先端のサイズに合わせて大型化されたものです。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉
専用レンズフード
取付径42㎜– 画像中央 –
〈 Uniomat II 〉
専用レンズフード
取付径42㎜– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
専用レンズフード
取付径54㎜レンズフード本体には機種名の表記をしていないのは各製品に共通しています。
〈 minolta Uniomat II 〉の専用品としてパッケージされた製品に表記された「 サイズ 」と「 取り付け方式 」を示す表示が〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉の専用品にも記されており、前述の通り同社のレンズフードに共通の製品記号として表記されるようになったものです。
– 画像左 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
- 画像左:〈 minolta Uniomat Ⅱ 〉 用レンズフードの記号表記は[ D42KA ]
- 画像右:〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉用レンズフードの記号表記は[ D54KA ]
表示機能に違いはありませんが、フィルムカウンターと追針メーターの表示窓の形状がモデルチェンジに伴って変わっています。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像中央 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 minolta Uniomat 〉 と 〈 minolta Uniomat II 〉 のモデルチェンジでは表示窓の形状が、〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 へのモデルチェンジでは横型から縦型に変更されています。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像中央 –
〈 Uniomat II 〉– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 Uniomat 〉
〈 Uniomat II 〉
〈 Uniomat Ⅲ 〉
〈 minolta Uniomat 〉 から 〈 minolta Uniomat II 〉 へのモデルチェンジに伴って、メーターの表示窓の造作が変更されています。
トップカバーの上から取り付けられていた樹脂製の窓が、カバーの内側からの取り付けに変わってフラットになっています。
〈 minolta Uniomat II 〉 から 〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 へのモデルチェンジではこの部分に変更はありません。
また、アクセサリーシューの取り付け方も変更されて全体的にフラットで直線的なデザインへと変遷を遂げています。
ここまで紹介して来ました様に、適正露出の写真撮影を一操作で簡単に行えるカメラとして登場した〈 minolta Uniomat 〉は、〈 minolta Uniomat II 〉 そして 〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 へとモデルチェンジを重ねて行きました。
デザインの変更が主だった 〈 minolta Uniomat 〉 から 〈 minolta Uniomat II 〉 へのモデルチェンジ、そして 1/1000 (s)を誇った高速シャッターは 1/500 (s) になったものの、基本性能はそのまま露出計の受光部が鏡筒に移ってエントリースペックのカメラとして実用性が高められた 〈 minolta Uniomat Ⅲ 〉 へと展開されて行きました。
– 画像左 –
〈 Uniomat 〉– 画像中央 –
〈 Uniomat II 〉モデルチェンジの都度、シンプルな操作を強調するかのように鏡筒の表示情報が少なくなっています。– 画像右 –
〈 Uniomat Ⅲ 〉
このサイトで紹介している 〈 minolta auto wide 〉 が登場した際には、内蔵露出計との連動を初めて実現させたカメラである事が大きくアピールされました。
そして 〈 minolta auto wide 〉 の発売から2年を経た 1960年に登場した 〈 minolta Uniomat 〉 は、新開発のプログラムシャッター 『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 を搭載して 「 シャッター速度 」 と 「 絞り 」 の設定操作を無くすまでに自動化が進められました。
その後、1962年には 〈 minolta Uniomat 〉 の仕組みに 「 EE 」 機構が組み込まれた 《 minolta HI-MATIC 》 の登場によって、初の〝 完全自動露出 〟が実現される事になります。
《 minolta HI-MATIC 》
についてはの項でも紹介しています
《 千代田光学精工 株式会社 》 は、〈 minolta Uniomat 〉 シリーズ以外にもプログラムシャッターによる追針式のカメラを発売しています。
1963年発売の 〈 minolta repo:ミノルタ レポ 〉 と 1964年に発売された 〈 Minoltina – P:ミノルチナ P 〉 がそのカメラです。
画像右側 :1963年発売〈 minolta repo 〉( 画像はブラックモデル )
画像左側 :1964年発売〈 Minoltina – P 〉 ( 画像はシルバーモデル )
画像左側 :1964年発売〈 Minoltina – P 〉 ( 画像はシルバーモデル )
どちらの製品にも 「 シルバーモデル 」 と 「 ブラックモデル 」 が設定されています。
- 〈 minolta repo 〉 は135規格の35㎜フィルムに17× 24㎜ のフォーマットで撮影する 「 ハーフサイズカメラ 」 です。
- 〈 Minoltina – P 〉 は広角レンズを搭載して 「 ゾーンフォーカシング 」 で焦点合わせを行う、薄くてコンパクトなサイズの製品です。
この両機種が搭載する 『 CITIZEN – L 』 シャッターは 〈 minolta Uniomat 〉 シリーズが搭載した 『 OPTIPER UNI CITIZEN 』 / 『 CITIZEN UNI 』 シャッターとは異なり、シャッター羽根とは別に独立した絞り羽根を持つプログラムシャッターです。
鏡筒に記されているシャッター銘
『 CITIZEN – L 』
ハーフサイズカメラの 〈 minolta repo 〉 と、広角レンズ搭載の 〈 Minoltina – P 〉 は、どちらも焦点深度が深く目測での焦点合わせに大きな不都合はありません。
また、両機種の焦点合わせはどちらも前玉回転方式で、鏡筒がコンパクトなうえ焦点合わせでの繰り出し幅も僅かです。
〈 Minoltina – P 〉 はフォーカスリングの動きを表示する [ 3点ゾーンフォーカス ] のメーターを備えていて、露出計の追針メーターと組み合わされた 『 クイックメーター 』 という呼称の表示機能を持っています。
〈 Minoltina – P 〉
『 クイックメーター 』はトップカバー上の中央やや左手側に位置しています。
〈 Minoltina – P 〉 の 『 クイックメーター 』
〈 Minoltina – P 〉 の 『 クイックメーター 』 は、表示窓の左手側に [ 3点ゾーンフォーカス ] の設定メーター、右手側に追針式露出計のメーターが配置されたものです。
〈 minolta repo 〉 の追針メーターは 〈 minolta Uniomat 〉 シリーズと同じスタイルです。
1964年には〈 minolta repo – S 〉という機種のハーフサイズカメラが発売され、《 ミノルタカメラ 株式会社( 1962年に《 千代田光学精工 株式会社 》から商号変更 )》のハーフ判カメラの製品ラインナップに加わっています。
– 画像左 –
〈 minolta repo – S 〉– 画像右 –
〈 minolta repo 〉大口径の撮影レンズが搭載された大きな鏡筒を持つ〈 minolta repo – S 〉は、同じ名称に『 – S 』を附して翌年に発売されている事から、各部分のスペックの向上が図られた〈 minota repo 〉のアップグレードモデルとして登場したという印象ですが、シャッターの設定操作が全く異なった製品です。
シャッターを完全なマニュアル操作によって設定する〈 minolta repo – S 〉は、『 プログラムシャッター 』での簡便な操作をする〈 minolta repo 〉とは、大口径レンズの搭載による外観の違い以上に異なった撮影スタイルを持つ製品になっています。
〈 minolta repo – S 〉には低速側が 1/8 (s) ではあるものの〝 セルフタイマー 〟が無いことを別とすれば、フルスペックのマニュアルシャッターが搭載されています。
距離計は非搭載ながらもレンズの繰り出しは〝 直進ヘリコイド方式 〟で、鏡筒には「 フォーカスリング 」「 絞りリング 」「 シャッター速度リング 」を備えています。〈 minolta repo – S 〉の追伸式露出計は ヨコ と タテ の違いはあるものの〈 minolta Uniomat 〉 シリーズと〈 minolta repo 〉と同じ表示スタイルで、このメーターの追針設定を鏡筒の 〝 シャッター速度リング 〟 と〝 絞りリング 〟のマニュアル操作によって行います。
- シャッターは型式表記が無い〝 SEIKO 〟銘で B( Bulb : バルブ )と 1/8 〜 1/500(S)までの速度設定ができ、目測での直進ヘリコイド式の繰り出しにより焦点合わせを行う f = 32mm 1:1.8 の大口径レンズが搭載されています。
〈 minota repo 〉をスタンダードモデルとして、各部分のスペックが単純にアップグレードされた上位モデルという製品にはなっていない〈 minolta repo – S 〉ですが、同じ年に発売されている『 Minoltina : ミノルチナ 』というシリーズ名で登場した35㎜判スチルカメラ2機種に見られる違いとの関係に似ている事が見てとれます。
- 上段左側:〈 Minoltina – S 〉( シルバーモデル )
- 上段右側:〈 Minoltina – P 〉( ブラックモデル )
- 下段左側:〈 minolta repo – S 〉( 製品はシルバーモデルのみ )
- 下段右側:〈 minolta repo 〉( ブラックモデル )
– 画像左 –
〈 Minoltina – S 〉– 画像右 –
〈 Minoltina – P 〉〈 minolta Uniomat 〉シリーズ以外の追針式『 プログラムシャッター 』搭載機種の一つとして紹介した〈 Minoltina – P 〉と共に、1964年に『 Minoltina : ミノルチナ 』シリーズとして発売された〈 Minoltina – S 〉は〝 定点合致式 〟の連動露出計で撮影設定を行うフルマニュアル機で、同シリーズの中で両機種がそれぞれ性格の異なる別の撮影スタイルを提供する製品になっています。
– 画像左 –
〈 Minoltina – S 〉– 画像右 –
〈 minolta repo – S 〉口径比 1:1.8 の大口径レンズが搭載され、連動露出計の方式が異なるもののフルマニュアルでシャッターを操作する〈 Minoltina – S 〉と〈 minolta repo – S 〉は、本体と鏡筒のバランスが近く全体の雰囲気も良く似ています。
カメラの設定を露出計に連動させる仕組みは、「 シャッター速度 」 の設定に対して適正露出となる絞り値を表示する 『 半連動 』 機能がその始まりで、その後 「 シャッター速度 」 と 「 絞り値 」 の双方が露出計に連動した設定を行える 『 両連動( 完全連動 ) 』 へと発展しました。
『 両連動( 完全連動 ) 』の仕組みは「 追針式 」と「 定点合致式 」が考案されていて、このサイトで紹介している 1958年発売の 〈 minolta auto wide 〉 は、前者の仕組みによる〝 完全連動 〟を初めて実現したカメラでした。
〈 minolta auto wide 〉
1958年「 定点合致式 」 の完全連動は 《 マミヤ光機 株式会社 》 の 〈 ELCA : エルカ 〉 の登場によって 1958年に実現されましたが、《 千代田光学精工 株式会社 》 の製品では 〈 minolta Uniomat 〉 と同じ 1960年発売の 〈 minolta AL 〉 への搭載が最初です。
〈 MAMIYA ELCA 〉
1958年〈 minolta AL 〉
1960年
〈 MAMIYA ELCA 〉
についてはの項でも紹介しています
〈 minolta Uniomat 〉 はシャッター羽根を全開させない事で絞り効果を得る仕組みで 『 プログラムシャッター 』 を実現して、「 追針式 」 により露出計への完全連動を一操作で行う事が出来るカメラです。
そして、この 『 プログラムシャッター 』 による追針式の連動を 「 EE 」 機構と同様の仕組みで自動化して、初の 『 完全自動露出 』 カメラとなったのが 1962年発売の 《 minolta HI-MATIC 》 でした。「 EE( イーイー ): Electric Eye( エレクトリック アイ )」 機構は、シャッター速度に対応する適正露出を表示する 「 半連動 」 を自動化した仕組みで、露出計のメーター針をシャッターボタンの押し込み動作で機械的に読み取って 「 絞り羽根 」 の開閉を制御するものです。
《 minolta HI-MATIC 》 の 『 完全自動露出 』 は、〈 minolta Uniomat 〉 というカメラの存在があってはじめて実現したものだといえます。
〈 minolta HI-MATIC 〉
1962年
〈 Ansco AUTOSET 〉
1961年
- 画像の右側は《 千代田光学精工 株式会社 》が OEM により製造した《 GAF Corporation 》の製品〈 Ansco AUTOSET 〉
- 《 GAF Corporation 》向けにデザインの一部が変更されている他、搭載レンズが異なっている以外は、〈 Ansco AUTOSET 〉と〈 minolta HI-MATIC 〉の仕様は同一です。
- 〈 minolta HI-MATIC 〉の発売は1962年の3月ですが、〈 Ansco AUTOSET 〉は先行してアメリカで1961年に登場しています。
〈 minolta HI-MATIC 〉
と
〈 Ansco AUTOSET 〉
についてはの項でも紹介しています
オートワイド12
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