〈 minolta auto wide 〉は、《 千代田光学精工 株式会社 》が 1955年から展開していた 35㎜ 判のレンズシャッター式スチルカメラ〈 Minolta ・A・ 〉と同系統の製品で、〝 世界初の内蔵露出計連動カメラ 〟として 1958年に登場しました。
〈 Minolta ・A・ 〉系統のカメラはビハインド式のシャッターを本体側から操作する仕組みを持ち、焦点合わせを行うヘリコイドの構造も本体部分に組み込まれています。
このため本体のエプロン部分には厚みがあり、相対的に鏡筒部分が小さいという特徴があります。
中でも焦点距離の短い〝 広角( wide ) 〟レンズを装備した〈 minolta auto wide 〉は、同系統のカメラとしても鏡筒部分が際立って小さな製品です。
– 画像左 –
〈 Minolta .A. 〉– 画像右 –
〈 minolta auto wide 〉
〈 Minolta .A. 〉
〈 minolta auto wide 〉
画像左の〈 Minolta ・A・ 〉は1955年に発売され、1959年に構造が一新されて次世代モデルとなった〈 minolta A3 〉が登場するまでの間、改良が重ねられてシリーズ展開されました。
画像右の〈 minolta auto wide 〉は1958年に世界初の内蔵露出計連動カメラとして発売された製品で、〈 Minolta ・A・ 〉系統の筐体構造をもった最後のモデルとなっています。
〈 minolta auto wide 〉
本体から一段せり出しているエプロン部分に、フラッシュシンクロターミナル、M – X 接点切り替えレバー、セルフタイマーがレイアウトされています。
シャッター速度だけでなく〝 絞り 〟の操作をも本体側で行う仕組みとなった〈 minolta auto wide 〉は、鏡筒と呼べる様な部分を持たない特異な容姿のカメラとなっています。
〈 minolta auto wide 〉が搭載する撮影レンズの焦点距離は「 35㎜ 」で、口径比は「 1:2.8 」というスペックです。
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レンズ銘の「 MINOLTA ROKKOR 2.8/35 」と7桁のシリアルNo.が記された化粧リングは、鏡筒の先端ではなくフォーカスリングが正面側に見えている部分で、鏡筒はその内側です。
『 3点ゾーンフォーカス 』のアルファベット P G S は、それぞれの領域を表す英単語の『 頭文字 』になっています。
〈 P = Portrait : 人物撮影 〉 〈 G = Group : グループ 〉 〈 S = Scenery : 風景 〉
焦点合わせは直進ヘリコイド方式で、回転するフォーカスリングの内側にあるフィルター枠だけのような鏡筒が前後に動きます。
径が大きく幅の狭いフォーカスリングの上部には、3つのアルファベット P G S が『 3点ゾーンフォーカス 』での焦点合わせに用いるインデックスとして記されています。
エプロン部分に被写界深度目盛りが記された表示レイアウトは〈 Minolta .A. 〉系統のカメラに共通で、距離表示は鏡筒側面に小さく記されています。
Lens cap : レンズキャップ
製品に付属する専用のレンズキャップは樹脂製で、被せて取り付けるタイプのものです。
その直径はレンズの鏡筒部分よりも大きく、フォーカスリングまでの全体をカバーするサイズになっています。
キャップの内径はフォーカスリングの外径に合わせた48㎜ ですが、その内側にはもう一つリングがあり、外径36㎜ の鏡筒先端に内側のリングをはめ込む二重構造です。
〈 minolta auto wide 〉専用レンズキャップ
キャップ「 全体 」の内径 48㎜
「 内側にある円周 」の内径 36㎜
専用のレンズキャップは、本体からの突出部分が短い鏡筒の全体をカバーします。
鏡筒先端に取り付けるタイプのレンズキャップを用いる場合は、外径36㎜の枠にはめ込めるも製品を用意する必要があります。 鏡筒先端はネジ枠になっていて、レンズフィルターは被せ式とネジ込み式の両方を用いる事が出来ます。 スポンサーリンク これら各製品の専用フィルターは、それぞれの製品向けの商品になってはいますが、いずれもネジ込み枠 34㎜ の規格品で、レンズキャップと同様に〈 minolta auto wide 〉にも用いる事が出来ます。 の正面に浮き彫りで記されているブランド銘『 minolta 』のロゴタイプは、〈 minolta auto wide 〉の製品デザインを手掛けた《 KAK : カック 》によって、このとき一緒にデザインされたものです。
樹脂製のレンズキャップは鏡筒の先端だけでなく、フォーカスリングまでを覆うサイズの被せ式。
《 千代田光学精工 株式会社 》の製品では、〈 minolta auto wide 〉と同系統の〈 Minolta ・A・ 〉と〈 Minolta ・A-2・ 〉が同サイズの36㎜で共通している他、〈 Minolta 35 〉の標準レンズと一部の交換レンズにも同サイズのレンズキャップが用意されていて、これを用いる事が出来ます。
また、他のカメラメーカーにも同サイズのレンズキャップを用いる製品が少なくない事から、カメラ用品メーカーの汎用製品も多く製造されています。鏡筒先端の外径サイズが共に36㎜ の〈 Minolta 35( SUPER ROKKOR 1:2.8 f=45㎜ )〉と〈 Minolta ・A・ 〉/ Minolta ・A-2・ 〉用のレンズキャップは、鏡筒のサイズが同じ〈 minolta auto wide 〉にも使用する事が出来ます。
〈 minolta auto wide 〉専用
内径48㎜〈 Minolta ・A・ 〉/〈 Minolta ・A-2・ 〉用
内径36㎜〈 Minolta 35 〉標準レンズ( 45㎜ )等用
内径36㎜メーカー名等の表記がない汎用製品
( プレス成型 )
内径36㎜メーカー名等の表記がない汎用製品
( 切削成型 )
内径36㎜
Filter : フィルター
専用品が用意されたレンズキャップとは違い、レンズフィルターは同じサイズの規格品を使用します。
被せ式のフィルターは、レンズキャップと同サイズの内径36㎜ の製品が適合します。
鏡筒先端に切られているネジ枠は34㎜ 径で、同規格の各種ネジ込み式フィルターが適合します。
被せ式フィルター
ネジ込み式フィルター用品メーカーの規格品
36㎜径の「 被せ式 」と34㎜径の「 ネジ込み式 」のフィルター
画像は《 株式会社 ケンコー 》と《 株式会社 ワルツ商会 》の「 被せ式 」と「 ネジ込み式 」それぞれの各種フィルター
《 株式会社 ケンコー 》製の「 被せ式 」フィルター
[ SY 44.2 ( Y1)]《 株式会社 ワルツ商会 》製の「 ネジ込み式 」フィルター
[ SL 39.3 – UV ]《 株式会社 ワルツ商会 》製で《 千代田光学精工 株式会社 》の〈 Minolta 35 〉シリーズ用の製品としてそれぞれの商標名『 Walz 』と『 Minolta 』が併記された〝 ダブルネーム 〟の「 ネジ込み式 」フィルター
[( SO 56.2 )YA3 ]
鏡筒先端の枠が〈 minolta auto wide 〉と同サイズで、そのレンズキャップを用いる事ができた〈 Minolta 35( SUPER ROKKOR 1:2.8 f=45㎜ )〉と〈 Minolta ・A・ 〉/〈 Minolta ・A-2・ 〉には、それぞれ専用品のレンズフィルターが用意されていました。
〈 Minolta 35( MODLE-F )〉
製品と専用フィルターそれぞれのパッケージ
専用品のフィルターはコンパクト型のケースに3種類が納められ、蓋の部分に『 Minolta – 35 』の製品名が印字されています。
フィルターを製造した用品メーカー《 株式会社 ワルツ商会 》の商標名『 Walz 』がケースに併記されています。
〈 Minolta 35( MODLE-F )〉
専用フィルターのセットは「 イエロー/オレンジ/グリーン 」の3種類
専用フィルターは「 34㎜ 」の取り付けネジが切られた規格品で、同じ規格の取付け枠がある他の製品にも使用する事が出来ます。
ケースだけでなくフィルター本体の枠にも『 Minolta 』と併せて『 Walz 』が刻印された〝 ダブルネーム 〟の製品になっています。
〈 Minolta ・A・ 〉
製品とフィルターそれぞれのパッケージ
フィルターのパッケージデザインは製品のものと統一されていて、『 For Minolta ・A・ 』と記された専用品になっています。
〈 Minolta ・A・ 〉と専用フィルター
画像のフィルターは「 Y48 」イエロー
〈 Minolta 35 〉の専用品と同様に、専用フィルターは「 34㎜ 」の取り付けネジが切られた規格品で、同じ規格の取り付け枠を持った他の製品にも使用する事が出来ます。
〈 Minolta ・A・ 〉
の
「 アクセサリー 」
については– コラム –
項でも紹介しています
「 被せ式 」,「 ネジ込み式 」の他には、円形のフィルターをホルダーにセットして用いる「 シリーズ式 」があります。
- 画像の手前から[ Y2 ][ haze(UV)][ PO1 ][ YA3 ][ 1A ]の『 シリーズフィルター 』そして「 クリップ式 」ホルダー
「 シリーズ式 」フィルターのホルダーにも『 被せ式 』,『 ネジ込み式 』などのタイプがありますが、画像の製品は『 クリップ式 』のもので、板バネで挟み込んで鏡筒先端に取り付けます。
また、シリーズフィルターが組込めるレンズフードや、レンズフードを組み合わせる事が出来るフィルターホルダーなどがあります。
画像の『 クリップ式 』ホルダーはフィルターを押さえるリングに高さがあり、レンズフードとしての役割りもあるタイプのもの。
オートワイド12
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